ポートレート撮影ともなりますと、公開できる写真に限りがあり、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S の描写力の素晴らしさをお伝えするにはこのようなポートレート写真が良いであろうと思い綴ります。
まずは、こちらの写真をご覧ください。
とても素晴らしい描写ですね。
この場所でスナップ写真を撮る方も多いのではないでしょうか。
先日も別の記事でご紹介をいたしましたが、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S を装着した Z 7Ⅱ はそれなりに重量感もありますため、良い意味では安定撮影は行なえますが、気軽に持ち出してスナップ撮影という感じにはならないかもしれません。。。(D850より少しは良いかも…)
しかし、この描写力、やはりタダモノではない感じがしております。
私の腕もたいしたものではございませんが、もはやカメラマンの腕などに左右されないような写真がズバリ撮影出来てしまうような気がいたします。(ただし、構図決めはカメラマンの腕に依存しますね)
本写真はRAW現像したもので、原版はもう少し大人し目の風合いではありますが、露出、WB、ピクチャーコントロールを程々に適用し直しますと、素晴らしい写真が現像できます。
極端な設定変更は私は好きではないのであまり行いません。
Lightroomなど、他の画像編集ソフトウェアによってプリセットフィルターを多用することで、まるで別な場所で撮影された写真であるかのように変貌させることも出来ますが、なんだかなーという感じがして、結局は原版の風合いに近づいていきます。
おそらくレンズが優れているほどこの傾向が有るように思え、あまりよく解像しないレンズで撮影された写真の場合は逆にフィルター設定を多用する、といった傾向が有ります。
極端な例ではありますが、特にiPhone等のスマホで撮影した写真はそのようにすることで解像具合の誤魔化しが出来ますので…
もう少し寄ってみましょう。
こちらは、上記の写真からクロップしたものです。
このとき、女性との距離は5m以上は離れていたと思いますが、クロップした画像でも、髪の毛のツヤ感、女性と奥に広がるスロープ背景との遠近感、右側からの自然光の映り込みがとても良い感じに描写されていますね。
奥にある光源の玉ボケも良い感じです。
もちろん、数十枚程度撮影した中から、女性の表情が良い写真を選定して掲載しております。
それでも他の写真と比べましても然程変わらない描写であり、NIKKOR Z 50mm f/1.2 S で撮影した写真にはミスショットの方が少ないほどでした。
こちらは、寄って撮影させていただきました。笑顔が素敵ですね。
写真の描写力を見ていただくために、了承を得て高解像度の状態を公開しております。
こちらは、カフェで撮った写真です。
原版にはスプーンの端に強めのパープルフリンジが出てしまっておりました。
Caputure NX-D にて、軸上色収差補正をかけてありますが、初期値で50でも微妙に残ってしまうため、100の設定にしたものです。
銀色のティースプーンの発色具合がとても良く描写されていますね。
1m程度の接写ですが、接写すればするほどピント面が薄くなり前後のボケ感が露出する描写になっていきます。F値の設定にもよりますが…
もう一つ素晴らしいのは、何を隠そう、これら本記事に掲載させていただいた写真は全て手持ちで撮影しているというところです。
いわゆるスナップ写真でこの描写です。
前回のBarでの写真はガチガチに構えてしまいましたが、今回は素敵な女性の前ということも有りリラックスしてスナップ撮影出来ました(逆かな)
さて、場所を変えまして
先程のスロープとは別の場所の青い光源のスロープでの一枚です。
上部からの白い自然光は露出オーバーで完全に飛んでいますが、全体的に程よくブレンドされた感じになりました。
女性の表情も相まって、とても魅惑的な描写になっていると思います。
さて、こちらは反対側から撮影したものです。
ちょうど先程の白い自然光が表情をハッキリと描写してくれています。
ISO500と高めの設定ですが、見事に繊細な描写をしてくれています。素敵です。
やはりこの辺りは、この50mm F値1.2の明るさ、Z 7Ⅱ の母艦の両方が好影響しているのだろうと思います。
今回のポートレート撮影では、生憎の小雨で気温も下がりとても寒くなってしまいました。
そのようなシチュエーションにも関わらず文句の一つも言わずにワガママカメラマンの撮影に協力していただいたのは SAKI さんです。誠にありがとうございました。
メイキング映像も作成していますので、よろしければ御覧ください。
※ NIKKOR Z 14-24mm f/2.8 S で撮影した写真も含まれております。
さて、
話題は変わりまして画像処理について、となります。
実は、今回の記事に掲載させていただいた画像の全ては WebP形式 となっています。
(ブラウザがMacOS Safari 14以前の方は上記の画像すら表示されていないと思います…本日時点ではMacOS Safari 15ですね)
時間の都合もありまして色々悩んだのですが、多くのブラウザがWebPをサポートしてきているのと、
これから先の事を考えますと膨大な容量の画像をCloud上に保持することになりかねないため、下記の手順を踏む事にいたしました。
- Capture NX-D でRAW現像
- jpg 画像をPhotoshopで読み込む
- WebPShopで保存する
といった具合です。
掲載している最後のファイルを元にして処理したもの例に表にいたしました。
下記の順序で処理しています。
ファイル形式 | 容量 |
RAW(.NEF) | 53.2MB |
Capture NX-D にて画質 85(低圧縮)にてJPEG出力 ※1 | |
JPEG(.jpg) | 10.4MB |
Photoshop WebPShop にてQuality 75 / Compression Default ※2 | |
WebP(.webp) | 1.1MB |
本例よりも軽量化されるファイルも有りました
※1 100(最低圧縮) にてJPEG出力しても良いです ※2 WebPShopによる保存時の設定で、Compression Fastest / Default / Slowest の3種類が有りますが、これは保存時の圧縮速度を指定でき、結果として出力されたファイル容量に関わってきます。 私が試した上記のファイルでは Default 1.1MB だったのに対し、Fastest 1.2MB となり、Slowest 1.0MB となっていました。 また、Quality 100では、何故か元のJPEGファイルよりも容量が倍増し 36.3MB となりますが、処理中にPhotoshopが30秒ほど固まってしまう状態でした。見た写真も殆ど変わりもないため、Quality 100にする意味が有るのかが疑問ではあります。
これらの処理によって、元の.NEFから、なんと1/50 程度の容量にまで圧縮された状態になります。
RAWを公開することは無いとしましても、.jpg から 1/10 程度になる、ということを真剣に考えますと、これらの価値は十分にあると思います。WebP形式にする最大の利点はここに有ります。
- 提供側は保存容量の削減メリット
- 閲覧者側は軽量で解像度の良い写真を見ることが出来るメリット
両者として、インターネット回線の圧迫を避けるメリット。(ギガの節約にも貢献?)
そのうち、様々な画像編集ツール達がWebPを本格的にサポートしていただけるであろうことを期待いたしましょう。
以前の記事にも書きましたが、iMac 5K Ratinaディスプレイ上でこれらの圧縮前・後の画像の比較を肉眼でしても判別が難しいほど差が分からないので、これはとても不思議な感覚になるのと、WebP開発者達の凄さが伝わってきます。
今回、これらを厳密に確認していた途中で気がついたことがあります。
ブラウザ(Safari, Chrome)と、画像編集ソフト(Photoshop、Capture NX-D)とのプレビューにもそれなりの差が有ることに気が付かされました。
この2つのプレビューにおいて、全く同じ画像ファイルを表示しても、ブラウザベースでは何かが端折られている様な、一言でいうと少々圧縮のかかった荒い画像になってプレビューされているということが分かりました。(WebPだけなのかなぁという疑問)
画像編集ソフトの素晴らしさはここにあるのか、と改めて実感いたしました。
これについてはとても気になるため、後日、時間を見て追ってみたいと思います。
気になったこと
- ブラウザと画像編集ソフトのプレビューの差
- WordPressの -scaled の対応(記事中には記載していません)
Z 9
と、いろいろと書いている間に、とうとう Z 9 のティザー4が公開されました。
10月28日 21:00 が楽しみですね。
更なる沼入りの予感しかいたしません…
記事の内容が古くなっているものもあり、適宜アップデートされる場合がございます。